2005年5月12日に血管を傷付け大量出血したルパくんの 闘病の日々と、その治療方法の記録です。出来る限りの手を尽くしましたが 残念ながら5月19日に永眠してしまいました。

看病するにあたって、こうすれば良かった、ああすれば良かったという事が 何点かありました。その辺も書き記しますのでウパの治療や看病をする際に ご参考にしてくだされば幸いです。 また、治療法などに関しては『K's Pet Clinic』山崎院長のご指導を受けております。

尚、当時の細かい症状や経過は ブログのカテゴリー【ウーパールーパー・病気・怪我編】の中に記してあります。


大量出血による貧血症状とその他の障害

ルパくんが怪我をしてから死に至るまでの転機は下記の通りです。 怪我をしてから5日目に『K's Pet Clinic』様の診療を始めました。 では、項目毎に症状と治療法を説明します。
  • 血管の切断
  • 大量出血
  • 貧血症状
  • 食欲不振
  • 消化管内細菌叢のバランス崩壊(推測)
  • 低酸素血症による多臓器不全(推測)

血管の切断

画像をご覧になるとお分かりの通り、 ルパくんの外鰓の部分には、太い血管が数本出ておりました。 この血管を何らかの形で傷付けたら大変な事になるのでは?と思い 危険な場所は作らずに、引っかかりそうな場所は全てマットで保護してあったのです。 それでも、ウパは時々犬や猫のように後足でエラを掻くことがあるので とても心配していました。実際に自分で傷付けたのか、どこかにぶつかったのかは不明ですが ついに恐れていた事が起こってしまったのです。

ルパくんはもともと怪我をしても再生能力が低いような気がしていました。 背ビレの欠損した部分も一行に再生してこなかったし…。 そう言った、ルパくんの特性?のため止血されなかったと思っていました。

実は、ルパくんの他にウパくんとのりたまの外鰓にも同じ様な血管が数本あります。 もし、この子達も同じようにこの血管を傷付けてしまったときはどうなるのかを クリニックの先生に聞いてみたところ……細い血管であれば、 自分の持っている止血因子の作用で正常に止血されるはずですが それ以上に血管が太すぎたりしたときにとめられないことがあるそうです。 ましてや水中なのでそれが顕著となるとの事でした。 太い血管の切断はかなり危険なので注意が必要だとの事です。 万が一出血してしまい止血できない場合は、直ぐに止血処置を施さないとならないそうです。

家庭でできる止血法をいくつか先生より教えて頂きました。

犬猫用のクイックストップ(粉状)を水から引き上げて使用するか、 瞬間接着剤を使用するか、しばらくの間ぎゅっと抑えるかなどです。 瞬間接着剤は、止血後放っておいても自然と取れるそうです。 焼烙(線香とかでも)もよく使われる手ですが、 如何せん刺激が強すぎるので逆に暴れて危険かもしれないそうです。 いずれにしても、そのような処置には慣れていないので、 素人による止血処置はどれも危険が伴うと思われます。

どうしても出血が止まらない場合は、止血が必要になりますが それによって暴れて余計出血する事も考えられますので しばらくは、ウパに刺激を与えないようにして、様子を見るのがよいと思います。 自分の持っている止血因子の作用で正常に止血できる可能性もありますので まずは冷静に様子を見ることが必要だと思います。 どうしても止血が必要な場合は、医療用などのゴム手袋をして ウパを持ってあげましょう。タオルなどに巻いたりすると、皮膚の粘膜を傷付け 非常に良くありません。持つときも、キツく持たないで、軽くウパを包むように 優しく持つようにします。

また、露出している太い血管を摘出してしまうという手術も可能らしいのですが 麻酔を使わなければならないので、それなりのリスクもあるとの事でした。 他の方法として、保証はないですが(暴れると思うので)、 血管の根元を糸で縛ってしまう方法もあるそうです。 血液がいかなければ、血管は無くなります。 暴れれば、大変なことになるので実践するには躊躇いがあります。 これもまた保証は無いのですが、薬浴をすると血管が小さくなる事があるそうです。

他のウパ達も同じような事になってしまったらどうしよう…心配で堪りません(泣) だからと言って、リスクを背負って元気な子達にメスを入れたりするのも考えものです。 とにかく、今私にできることは危険な場所は絶対に作らないで、 できる限りの工夫や配慮をして全力でウパ達を守ることです。

大量出血

ルパくんの場合、血管が太すぎたため自分の持っている止血因子の作用で 正常に止血されずに大量の血液を無くしてしまいました。 実際にどの程度の量かは分かりませんが、60cm水槽の水がうっすらと赤茶色に 変色するほどには出血しました。しかも、2分の1程度の換水をしても 数時間後にはまた水が変色しているほどの量です。 常に少量ずつ出ていたかもしれないけど 威勢よく動いた拍子にドクドクと濃い血液が出てしまいました。

止血の方法も分からなかったので、ただただ見守っているだけでした。 ウパくんと同居していたので、接触して驚いたり暴れたりしないようにと 出血も止まっていたのでルパくんを別水槽に隔離しました。 ココで最初の失敗がありました。出血が止まっていたのですが、隔離する際に 少しルパくんが暴れてしまい、またしても大量の濃い血液が出てしまいました。 なるべく刺激を与えないように、元気な方のウパくんを隔離すれば 余分な出血は防げたかもしれません。 尚、隔離後は水が汚れがちだったので、1日1度2分の1程度の換水を行っていました。

貧血症状

大量に出血した翌朝は、体色やエラも真っ白で血色がなくなっていました。 完全に貧血状態に陥りました。 貧血に対しては、K's Pet Clinic様よりお薬を処方して頂きました。 処方されたお薬は、「ステロイド剤」と、「貧血のお薬(鉄剤)」と、 「鉄を含むミネラルとVBを含むビタミン剤」の3種類でした。 ステロイド剤は、大量出血していることによるショック症状の緩和と、 代謝促進のためです。本来であれば鉄剤は、経口的に投薬したほうがよいのですが、 それは無理だったので、皮膚からの吸収を望んで薬浴という形にして頂きました。

これら3種類のお薬を入れた水に、1日1度1時間の薬浴を開始しました。 ウーパールーパーを診療してくださる獣医さんが居ることを知ったのが 遅かったので、怪我をしてから5日目に薬浴を開始しました。 もっと早く治療を開始していたら、もしかして助かったかもしれなかったのに。 病気や怪我は、早期発見と早期治療が大切だと改めて実感し、そして後悔しました。

治療を開始した時には既に遅かったようで、改善は見られず日に日に悪化していきました。

食欲不振

当然の事ながら、大量出血による貧血とショック症状により食欲もありませんでした。 少しでも貧血の改善になればと、レバーを与えてみたりしましたが食べてくれませんでした。 好物でもあり、食欲不振や病気の時の最後の頼みの綱であるピンクマウスも取り寄せて 与えてみましたが食べてくれませんでした。

K's Pet Clinic様より、お湯に溶いて与える粉末の流動食のような栄養食も 処方されていたのですが、胃ゾンデを使って直接胃に流し込まないとダメでしたので 私には胃ゾンデを使用することが出来ずに与えることが出来ませんでした。 ウーパーには、喉に水が入らないようにするためのフタがあり、自分で飲み込もうとしない限り 口に栄養食を入れてあげてもフタがあって喉を通らないそうです。 (胃ゾンデとは少し太く長い針のようなもので、シリンジ(注射器のような物)につけて それを口から胃まで差し込んでお薬や餌を注入するための器具です。)

消化管内細菌叢のバランス崩壊(推測)

ルパくん 怪我をして3日目から、時々浮いているようになりました。 日が経つにつれて、底に沈むことが少なくなり、最後の2日くらいは 全然沈むことができなくなり、バランスも失い倒れるように浮いていました。

貧血になったときや、水質が悪くなっているときは、体調が悪い状態です。 そうなると消化管の機能なども衰えてくるでしょうから、 消化管内の細菌叢のバランスがくるってガスが過剰に発生すると思われるし、 あやまって、調整できなくて消化管内に空気を飲み込んでしまっていた場合も考えられます。

浮いている状態は、無駄な体力も使うでしょうから水位を下げてみたのですが 空気を吸いに水面に出ようとしてもがいて暴れるのです。 水位があった方が暴れなかったので、水位は下げず浮いた状態のままでした。 ルパくん

また、水位を下げて足が底に着くようにしても、真横に倒れた状態になってしまったので 何とかならないか考えた末、水槽に網を入れてその中にルパくんを入れました。 そうする事によって、網は自在に変形するのでルパくんの体を包むような形になり 足も着いているし、まっすぐ着地している形になりました。網を入れてあげたのが 永眠した日の朝でした。もっと早く、浮いて沈めなくなってしまった時点で こうしてあげたら、体力がもう少し持ったかもしれません。失敗でした。

網に入っているとは言え、浮いている状態と一緒なので 背中の一部分が水面上に出ていました。動いてくれれば、そのつど露出している部分も 水に濡れてくれるのですが、この時点では、既に動くことも殆ど無くなってしまい 皮膚の乾燥が危惧されたので、ペーパータオルを小さくカットして背中にかけて乾燥を防ぎました。 画像を見てお分かりかと思いますが、大量の血液を失っていたので 血色がなく、エラも体もすべてが本当に真っ白でした。

低酸素血症による多臓器不全(推測)

リンゲル液 大量出血により低酸素血症に陥り細胞が破壊され、 それにより呼吸不全や肝機能、腎臓機能の不全に陥ったと思われます。

また、最終的には、下半身が麻痺してしまい前足だけで動いている状態でした。 こんな状態を何とか和らげてあげることはできないか先生に相談したところ 輸血はできないけど、それと同じ効果がある方法を教えて頂きました。

それは、両生類用のリンゲル液を飼育水として使うことです。 クリニックにて処方して頂けるのですが、1000ccが1050円。高いです。 しかも飼育水として使うとなれば大量に必要になります。 そこで、リンゲル液の作り方を教えて頂きました。

【両生類用のリンゲル液の作り方】
一リットルの精製水に対して、 「塩化ナトリウム 6.6g」 「塩化カリウム 0.15g」 「塩化カルシウム 0.15g」 「重炭酸ナトリウム 0.2g」です。

リンゲル液治療用 これらの薬品は劇薬ではないので個人でも比較的簡単に買えるのですが 普通の薬局には売ってないと思うし、これらを売ってそうな薬局も近くになかったので 1000ccのリンゲル液(左上画像参照)を処方して頂き、 それを捨てないで1日に何度かそれにルパくんを入れる事にしました。 尚、リンゲル液500ccと生理食塩水500ccと粉剤1包で1セットになります。

ルパくんの体が入るだけの小さな容器であれば1000ccのリンゲル液でも 何とかなると思い、2リットルのペットボトルを横に倒し、上をカットして、切り口をビニールテープで 補正して、エアレーションのチューブを通す穴をあけて、エアストーンを設置して 簡易薬浴容器を作りました。(左下画像参照)

この容器に網ごとルパくんを入れてあげる予定でしたが、リンゲル液が到着する前日に ルパくんは永眠してしまいました。このリンゲル液は、日持ちするので保存してあります。 脱水・循環血流量が低下したとき、つまり広範囲の皮膚病、体調不良、下痢、などなど 色々なときに使用できるそうです。もっと初期のうちにルパくんに使っていればもしかして…と、 少し後悔しています。

永眠前夜、呼びかけると力強く顔をあげてくれたので、きっと大丈夫!と希望が持て リンゲル液が到着したら直ぐに治療がはじめられるようにと治療用容器を作ったのに… やりきれなかったですo(;△;)o

最後のルパくん画像 永眠して約2ヶ月が経ち、やっと最後に撮ったルパくんの画像を見ることができました。 血色のない真っ白の顔ですが、うっすらと微笑みを浮かべているようにこっちを見ています。 もう既に視力もなかったかもしれません。この画像を撮った数時間後にルパくんは 息を引き取り安らかな眠りについたのです。

きっと怪我をしてからずっと辛かったでしょうね? それでも最後までよく頑張ってくれたし、ちゃんとお別れもしてくれて 本当にありがとう、ルパくん^^ もう苦しむこともなく、ゆっくり休んでくださいな☆



エラから血管が出てしまう原因と対策

血管を傷付けてしまった時の止血方法や治療法を覚えるより以前に、 太い血管を作らないこと!これに尽きると思います。 では、どうしたらエラから血管は出てこないか?その原因は何なのか? その辺をクリニックの山崎院長に伺ってみました。

水質に関係あり?

先生が推測するに、水質に関係があるかもしれないとの事です。 しかしながら、ウパ水槽は定期的に亜硝酸値、アンモニア値、硝酸塩値、pHを 測定しており、ほとんど理想値で問題のない範囲でした。

先生曰く、『数値ではわからない部分なのかもしれません。 数字にとらわれずに、「きれいな水」を保つこと。 自然界ではかなり「きれいな水」のところに住んでいるはずです。 かつこの子達の排泄物は、毒性が高いので、狭い空間であれば そのダメージも思いのほか受けやすいのではないでしょうか。 僕らが見てきれいと思うような水でもこの子達からすれば、 排泄物などの毒素が有るのかもしれません』との事でした。 ちなみに、糞で汚くなるよりも、尿の毒素のほうが両生類は脅威らしく 便が出たらと考えないで、尿量で考えたほうが良いらしいです。 それにしても、数値では分からないウパから見た水質の悪化って一体…(^_^;)

では具体的に、どのように水質が関係して血管が出てきてしまうのか?

先生の推測はこうです。

『形態と機能から推測するに、水質の悪化(この子達にとっての悪化)によって 一番ダメージを受けやすいのが、体表、しかも体表面積が大きくいっぱいある鰓だと思います。 鰓の細胞自身がダメージを受けて、ふさふさの数が少なくなる。 これが形態。で、機能は、要は鰓は、水中の酸素を取り込むための器官ですから、 その必要性が、水温変化などによる溶存酸素量などの増加で無くなってきて、 ふさふさの数がこれまた少なくなる。これらの理由でふさふさが少なくなる。 で、今度は、ふさふさが、水質の改善や水温の変化によって再生しようとしたときに 過剰に反応してしまって、通常よりも大きな血管ができてしまう。 一生懸命、失われたものを元に戻そうとしたり、補おうとして過剰反応を示す。 人でも、様々な場合にありますよね?例えば、アレルギーも過剰に反応すれば アナフィラキシーショックとなって死んでしまうこともあるし (蜂などにさされて死ぬ例など)、物書きのし過ぎでもペンダコってできますよね。 これも、皮膚が過剰に形成された結果ですよね。 おそらく、水換えをちゃんとして、水温を20度ぐらいで、周年キープできれば 鰓についての問題(病気・トラブルなど)はグッと減るのではないかと思います。』

ウパくんの血管 う〜ん、しかしながらウパくんは周年エラはフサフサで 乏しくなった事がなく、過剰反応したって事はなさそうなんだけど。 でも、どこかで過剰反応していたのか!?

それから、溶存酸素量の増加で、フサフサの数が減り少なくなるって説。 これは私も以前から思っていた事です。 酸素が豊富にあれば、外鰓は小さくても 充分に酸素補給できそうだから、 むしろ溶存酸素量が少なめの方が、たくさん空気を取り込もうとして エラはどんどん立派になるのではないか?と。 しかしながら、エアレーションを多めにしてあげると エラがフサフサになるって説もあるし(笑) ただ、極端に溶存酸素量が少ないと、今度は肺呼吸に頼るようになり エラはどんどん後退してしまいそうなので 微妙な加減なんでしょうねぇ。難しいけど(^_^;)

それにしても、周年水温を20度くらいにキープってのも、水槽用のクーラーでも設置して 水温管理しないとかなり難しそうですよね。まして夏に20度キープなんて…厳しいですよね(^_^;)

ひょっとして遺伝?

水質の問題かもしれない…と推測される他に、まったくの私の推測ですが、 もしかして遺伝ってこともありかも?なんて思っています。 何故なら、同じ環境に同居している2匹のウパたちに違いがあるからです。 一方は血管なんか出ていないけど、一方は出ているのです。 もし、水質が関係しているなら、同じように反応するような気がします。 個体によって、同じ水質でも反応しずらい子と、反応すやすい子がいるのかもですが。

その他の推測

ある飼育仲間様より頂いたご意見なのですが、この飼育者様はかなりお気楽飼育法らしく 水換えは週に1度くらいで、砂利を敷いているので掃除をしたと言っても 砂利の底の方は結構汚いのかもしれない、エアレーションは無しとのこと。 しかしながら、その水槽の中で飼育している3匹のウパ達は、トラブルもなく、リング状の血管は まったく見あたらないそうです。なので、ほんとに水質が関係あるのか疑問に思うとの ご意見を頂きました。

血管の出没に関係なく、私も時々思うんですよ。 正しいお気楽飼育法(この正しいってのが難しいですが)の方がトラブルが無いのかも?って。 何故なら、お魚水槽に関しては、なんでこんなに手のかけ方が違うの!?と 突っ込まれそうなくらいお気楽飼育なんですが、トラブルナッシングで お魚もメダカもグッピーも元気はつらつなのです(^_^;) だから、もしかして神経質に弄りすぎる方がかえってタブーなのかも…なんて。 いや、それが本当にタブーなのかは不明ですけどね。 神経質にちょくちょく換水などをしていると、特に敏感な子には悪影響が出そうだし。 水槽内を弄れば弄るほどストレス抱えそうだし。

現段階では、何故エラから血管が出てきてしまうのかハッキリと断言できる原因は分かりません。 よって、確実な対策も分からない状態ですが、水温を低くめに保つよう努力して、 水を綺麗に保つよう心掛けながら様子を見ています。 あとは、ただただ血管を切らないように祈るばかりです。

もし、この他に推測できる原因がありましたら、どうぞ掲示板なりメールなりで ご連絡頂けるととても助かります。宜しくお願いしますm(__)m





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